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2026年3月10日

「私たちのケアには意味があった」症例報告で見出す看護の本質

真崎 祥子(神戸海星病院)


1. 症例をまとめようと思ったきっかけ

 今回の症例をまとめようと考えたきっかけは、「家族が遠方に住む一人暮らしの患者さんの看取りを実現できたこと」でした。 一人暮らしの看取りは、たとえそれが本人の望みだとしても、実現できないだろうと、最期の場所としての選択肢に初めから上がらないこともあると思います。しかし、本症例では病院・地域スタッフ全員が、あきらめることなく在宅での看取りを実現することができました。

 そこで、なぜ実現できたのか、その背景にはどのようなことが関わっていたのかを明らかにしたいと思い、症例報告に取り組もうと思いました。

2. 「イメージマップ」から見えたテーマ

 取り組みの第一歩として、まずは「イメージマップ」を作成しました(図1)。
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【イメージマップ(図1)】


 頭に浮かぶ言葉を自由に書き出していくうちに、次第に言葉同士のつながりが見え、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」と「連携」という2つの軸が浮かび上がりました。

 根底にあるのは「患者さんの強い想い」ですが、それを支え、形にしていったのは病院・地域スタッフ間の「想いをつなぐ連携」であったという気づきから、今回は「連携」に焦点を当ててまとめることにしました。

3. 理論と実践を紐付ける「振り返り」の深さがもたらす気づき

 経時的にケアを振り返る中で、実践当時は無意識だった「自分の行動の意図」に改めて気づくことができました。

   •なぜ、あの時この行動をとったのか?
   •なぜ、今回は連携がスムーズだったのか?

 これらを考察するため、多くの文献やガイドライン、看護理論を読みました。自分の主観だけでなく、知見や理論と照らし合わせた時、目の前のケアがより深く、確信を持てるものへと変わりました。「家政婦さんの存在」や「家族が医師」といった個別性の高いケースではありましたが、理論と重なり合ったことで、条件を問わず「次につなげられる看護の形」として言語化できたと感じています。

4. 喜びの共有:症例報告を通じたチームのモチベーションの向上

 最も嬉しかったのは、この症例を病院・地域スタッフに共有し、受賞を報告した時の反応です。 「自分たちがしたことに、これほど深い意味があったなんて思わなかった。すごく嬉しいし、これからも頑張りたい」 という言葉が返ってきました。一人の患者さんと向き合った経験が、スタッフそれぞれの自信とやりがいに繋がった瞬間でした。

 症例報告としてまとめる過程は楽ではありませんでした。しかし、改めてじっくりとケアの背景を振り返ることを通して、実践の意味を深堀することができ、自分自身の看護を発展させるだけでなく、関わってくれた方たちのモチベーションにも繋がるきっかけとなりました。このような機会をいただき、そして何より素晴らしいケアを一緒に実現してくださった方たちに改めて感謝申し上げます。


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【ポスター発表後・地域スタッフと受賞の喜びを共有】

 

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