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慢性心不全看護認定看護師Q&AQ&A
第1部:慢性心不全看護認定看護師 資格取得までの道のり
Q.認定看護師制度って何ですか?
A.
国民への質の高い医療の提供を目的に、日本看護協会が運営する資格認定制度です。
詳細は日本看護協会のホームページをご確認ください。
https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/vision/cn/index.html
Q.慢性心不全看護認定看護師を目指そうと思ったきっかけは何ですか?
A1.
急性心不全の治療が終わってもQuality of Life (QOL)や日常生活の困難さは変わらない患者さんを多く見てきて、患者さんに必要なことは色々あると感じ始めたのがきっかけです。また高齢で多くの障害・疾患を抱える心不全患者さんが多く、そのような心不全患者さんの生活を支援するには、限局した疾患への介入だけでは不十分であり、患者さんを生活の視点から包括的に支援する者が必要と感じたからです。
A2.
心不全で入院した患者さんに対し、カテコラミン投与などの集中治療をはじめ、厳しい水分・塩分調整を行うと治療効果が得られることが多く、退院を目指せます。しかし、退院後しばらくすると体重増加、呼吸困難などによる再入院を繰り返します。疲弊していく患者さんやご家族を見て、自分が病院内で行っているケアはこれでよいのかと疑問を持ったためです。
Q.慢性心不全看護認定看護師をいつ頃から目指そうと思いましたか?
A1.
最初は臨床での疑問に対して、心臓リハビリテーションでの介入が最も適切だと考え、心臓リハビリテーションを通して患者さんに関わっていました。その過程で慢性心不全看護認定看護師の制度が誕生し、循環器医師や看護部が必要性を理解してくれたこともあって資格取得を目指すようになりました。
A2.
循環器疾患で入院してくる患者さん、入退院を繰り返す心不全患者さんの療養生活支援に悩んでいたところ、慢性心不全看護認定看護師の教育課程ができたと聞きました。循環器病棟で勤務し6、7年目の頃です。どんなことを勉強するのかと説明会に参加し、大変興味深かったので受験することを決めました。そのため実際に慢性心不全看護認定看護師を目指そうと思ったのは、受験年ということになります。
Q.慢性心不全看護認定看護師にはどうやったらなれますか?
A.
看護師として5年以上の実践経験(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)
↓
認定看護師教育機関(課程)を受験し合格する
↓
認定看護師教育課程を履修 カリキュラムを修了
↓
慢性心不全看護認定看護師認定審査の受験資格が得られる
↓
認定審査(筆記試験)を受ける(日本看護協会)
↓
慢性心不全認定看護師として認定証の交付・登録(日本看護協会)
詳細は日本看護協会のホームページをご確認ください。
https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/vision/cn/index.html
Q.慢性心不全看護認定看護師になるために、どんな準備をしましたか?
教育課程に入るためにどれくらいの期間をかけて、どんな勉強をしましたか?
A1.
初年度の受験で、出題傾向が解らなかったため、循環器の教科書の解剖生理や、薬の本から基礎の部分を毎日勉強しました。主に疾患について勉強しましたが、根拠に基づいた看護技術や看護過程に関する振り返りも行えばよかったと思います。
A2.
論文の書き方、論理的な文章の書き方などの本を購入し、1ヶ月程度勉強しました。
Q.認定課程はどこで受講できますか?
A.
日本看護協会分野別教育機関一覧(開講状況・定員数)をご参照ください。
https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/education/educ_inst_approval_cn.html
Q.金銭的な負担はありますか?
A.
全員共通でかかる費用と、各々の状況に応じてかかる費用とがあります。
共通でかかる費用
教育機関によって異なりますが、おおむね以下のようになります。
入試検定料 | 約5万円 |
入学金 | 約5万円 |
授業料(実習費等含む) | 約70万円 |
認定審査費用 | 5万円 |
認定費用 | 5万円 |
合計 | 約90万円 |
各々の状況に応じてかかる費用
生活費の他に、教育機関の場所が自宅から通学圏内かどうかで家賃や引っ越し費用、交通費などが変わってきます。病院により研修期間中の扱いは様々です。ご自身の施設の支援内容を調べることをおすすめします。
日本看護協会は、認定看護師教育課程受講者を対象に奨学金(学費及び生計費)を貸与しています。
詳細は日本看護協会ホームページをご参照ください。
https://www.nurse.or.jp/nursing/scholarship_subsidy/scholarship/scholarship_nintei/index.html
Q.教育機関ではどんなことを学びますか?
A.
授業は看護協会が定めるカリキュラムに則ってすすめられます。カリキュラムは「共通科目」と「専門科目」にわかれています。共通科目は、「看護管理」「リーダーシップ」「情報管理」「看護倫理」などからなり、専門科目では、「心不全看護概論」「心不全の病態生理と診断及び治療」「慢性心不全患者の症状マネジメント」「慢性心不全患者の生活調整」「慢性心不全患者の療養支援」など、心不全の病態生理から日常生活支援まで講義や演習、グループワークを通して学んでいきます。
教育課程の後半には「臨地実習」があります。約1か月半、実習施設で看護過程の展開を行い、療養支援プログラムを作成します。
また、実習先の施設などで、勉強会の開催やカンファレンス、事例検討を通して指導や相談対応などを行います。実習が終わると、事例発表会を行い臨地実習での学びを発表します。
カリキュラムの詳細は日本看護協会のホームページをご参照ください。
https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/vision/cn/cn_curriculum_a.html
Q.生活スタイルはどのような形になりますか?
A1.
基本的に平日の朝から夕方まで講義や実習になります。放課後や休日は課題のレポート作成や試験勉強にあてました。多忙な日々でしたが、時間がある時は同じクラスの仲間と食事に行くなど息抜きをしていました。志を共にする仲間と心不全看護について語り合った日々はかけがえのない時間だったと思います。
A2.
自宅から通学をしていたので早朝に家を出て夜遅くに帰宅する事が多かったです。教育機関では講義・グループワーク・課題提出などがあり大変でしたが、とても充実した時間でした。
第2部:慢性心不全看護認定看護師になってから
Q.慢性心不全看護認定看護師になってどのような活動をしていますか?
A1.
多職種連携をおこない在宅生活が継続できるように支援しています。また地域で勉強会を開催しています。
A2.
退院後も継続看護ができるよう外来と連携しています。また心臓病教室を企画し、地域の方が心臓病に興味を持ってもらえるような活動をしています。
Q.慢性心不全看護認定看護師になってよかったことは何ですか?
A1.
自分が学んできたことを伝えることで、スタッフの心不全患者さんに対する介入の仕方が変化したことです。以前よりも患者さんの入院前の生活状況を詳しく聞いたり、自己管理ができない患者さんでもできる方法を一緒に見つけたりするなど、スタッフの患者さんに対する姿勢の変化を実感できることです。
A2.
半年間の研修を通して、志を同じくする多くの友人に出会えたことです。研修を通して、実践の引き出しが増えたことで、自分が余裕を持って患者さんに接することができるようになりました。看護って楽しいと再認識できたことです。
Q.資格をとった後はどうやって情報共有を行っているのですか?
A.
循環器看護学会の主催する学術集会を始め、様々な学術集会が開催されそこに参加をし情報交換や最新情報を得て学びを深めています。また、各地域で地域ごとの認定看護師が集まり症例検討や日々の悩みを話あっています。今後、地域ごとで行っている取組などもご紹介できたらと考えています。
Q.受験しようか迷っている人へのメッセージ
A1.
自身で心不全を勉強していく中で、病態の知識や心不全看護はある程度深めることはできると思います。ただ、半年間集中して教育機関に通うことでより詳しく、より具体的に学ぶことできます。また、グループワークを通してクラスメイトの考えや他施設の取り組み、スタッフ教育など看護師として学ぶことも多く、充実した半年間となると思います。
A2.
レポートやグループワーク、テスト勉強や実習など大変なことはたくさんありました。ただ、今振り返ってみると「行って良かった、楽しかった」と思います。現状に満足していなければぜひ挑戦してみてください。教育課程での学びを通して、乗り越える力を身につけることができると思います。